建築物でも海沿いの地域で、金属を使う場合ここは潮風が当たるからステンレスにしないとダメとか、PV太陽光発電システムの設置条件にも海から何キロ以上離れないと設置は不可等、海水中の塩分が影響する事から海の近くで建築又は構造物を作る場合に制限を受ける場合があります。
そこで、『瓦の塩害』と言う事になるのですが、焼成された瓦は錆びる事がないのに塩害の対象になるのかどうかと言うと『瓦に塩害と言う現象は発生します』
塩害は、余り頻繁にお目にかかれないのですが、
今から約20年前に体験確認した塩害のお話を簡単にさせて頂きます。
愛媛県松山市粟井に【一六グループ】の展開する和食海鮮お食事処の『海鮮北斗』がありました、この店舗は有名店なので記憶されている方も多いと思います。
雨漏りが酷いとの事で現場調査に行きました。[海鮮北斗は今は閉店解体しています]
その当時、海鮮北斗はとても斬新なデザインで又巨大な店舗で一世を風靡した建築物でした。約40年前にオープンして20年前に雨漏りと言う時間的経過がありました。
現場の屋根に上がってみますと、菊間瓦72枚版と64枚版の二種類を使い、金属の瓦棒葺きの屋根もあり、屋根形状や屋根勾配も様々で急勾配や緩勾配とやりたい放題でした。ただ、海鮮北斗は、海に接していて塩水がかかると言うかお店から釣りが出来る様な立地でしたので金属屋根材はステンレス製の材料を使っていました。
そこで、雨漏りしている箇所を大体聞いていたのでその辺りの瓦を一枚めくってみてビックリ、なんと瓦と瓦の重なり部分が無くなっているのです。皆様は信じられない事と思いますが、パット見は瓦が普通に施工されている様に見えますが実は、瓦と瓦の重なり部分が溶けて[表現が難しいですがその部分が埃の様に無くなっています]
大半が無くなっていると言うものでした、そのために雨漏りが発生したと言うか結構前から雨が漏っていたとの事でした。
特に海に面している屋根面はその程度が酷く現場調査の結果は大問題として報告し、とにかく『大至急に葺き替え工事が必要です』と提案しました。しかし、屋根面積も大きく、この店舗も継続して営業を続けるかどうかわからないとの事でしたので店舗内に雨漏りしている部分の屋根のみの瓦の差し替え工事の依頼で工事しました。その時の写真が無いので大変残念なのですが只今写真を探しています。
瓦の塩害は、瓦と瓦の重なり部分が塩の影響で粉の様に溶けてしまう現象を言います。
恐らく、瓦に含まれる鉄分を塩が錆びさせる様な事が起きているんだろうと思います。
因みに、島根県の石州瓦は、瓦の素地が比較的鉄分の少ない白っぽい素地で耐火煉瓦の様に白い素地のメーカーさんもありますが『石州瓦は塩害に強いんだ』とその特徴を誇示したりしています。