瓦葺き屋根に使用されている銅板(谷 一文字 軒樋)に穴が開くのは故何
事例① 数寄屋調和風住宅で、軒先側の銅板に穴が開く場合
数寄屋調和風住宅で軒先側や妻側に額縁状に銅板の一文字葺きを施工して、その上に合端した一文字軒瓦を施工するという工事があります。和型の瓦は山と谷が有り雨水は瓦の谷部に集まりながら軒方向に流れてて行きます。軒先の一文字軒瓦まで雨水が来て次に銅板の一文字葺きの銅板に瓦の谷部より大量の雨水があたる事になります、この事の繰り返しにより銅板が減耗するるので穴が開く事になります。『雨水の銅板に対する量的な負荷が銅板に穴まで開けてしまうのか』とも思えるのですが『雨垂れ石をも穿つ(うがつ)』の諺もある様に事実雨水が銅板を擦り減らせて穴まで開けてしまうのです。
瓦葺屋根に谷があり、その本谷に銅板が施工されておりその銅板に穴が開き雨漏りすると言う事例が大変多くあります。この場合も事例①と同じで、和型の瓦は山と谷があり雨水は瓦の谷部に集まりながら本谷に向かって流れて行き瓦の谷部から本谷に向かって雨水が落下します。この時瓦の谷部は他の部分よりも大量の雨水が落下する事となりこの繰り返しにより銅板が減耗 すなわち、すり減って銅板に穴が開くのです。
和風日本瓦葺きの住宅に銅製の樋が付いている場合があります。この場合も和型の瓦は山と谷があり雨水は瓦の谷部に集まりながら軒先方向に流れて行きます。軒先の唐草まで来て唐草を伝いながら銅製の樋に落下します。この時、瓦の谷部辺りの直下の軒樋には他の部分より大量の雨水が当たる事となる為に、瓦の谷部直下の銅製の軒樋の表面を減耗させて穴が開きます。
その穴の間隔は瓦の桁方向の間隔と同じになります。ちなみにJIS53A型であれば265ミリの間隔になります。
この様に、瓦を経由して雨水が銅板に当たる場合その瓦の形状により比較的大量に雨水のあ当たる部分の銅板に穴が開く事になります。
瓦葺き屋根に使用されている銅板(谷 一文字 軒樋)に穴が開くのは何故の答えとして一般的に言われている理由として
「酸性雨の影響である」という説が有りますが、これは銅板に穴が開く理由ではありません。
この点、簡単に説明させていただきます。
銅板に穴が開くのは酸性雨の影響ではないかという説があります。
酸性 アルカリ性と言うのは㏗(ペーハー)の値を基にしています。㏗は水溶液(今回の場合は雨水)の酸性度又はアルカリ度を表すもので中性を7とし7を超える場合はアルカリ性7未満の場合は酸性となりこの値が小さい程酸性が強い事を示します。
一般的に、綺麗な空気の地域に降る雨は空気中の二酸化炭素が溶けてできた炭酸を含んでいる為酸性度は5.6程度になると言われています。この数値より低い値を示す雨を国際的に酸性雨と呼んでおり、日本国内で環境省が2度調査しています。
1度目は(昭和58年~昭和62年)㏗4.4~5.5
2度目は(昭和63年~平成4年)㏗4.5~5.8
でありほぼ同じ値がでていまして日本はやや酸性雨の降る地域ではありますが世界48カ所の銅減耗調査で比較しても銅に対する酸性雨の影響は認められていませんので、国内での通常の使用であれば銅板を使用した屋根 谷 樋 に対する酸性雨の影響は無いという報告がされています。銅板の一般的な対応年数は60年~100年と言われています。(厚みによる)
【総括】
総括として、同に穴が開くのは瓦と一緒に使用された場合に穴が開く事が多く、それは、瓦の形状、特に和型やS形瓦のように瓦に山と谷があり雨水が集中的に銅板の一カ所当たる場合その表面が減耗する事により発生する現象であると言えます。
これらの対策工事も事前 事後共承っておりますのでお気軽にお問合せ下さい。
8時~18時まで受付中!
0120-23-0603